EXPO!t 札幌コンベンションセンター~生命誕生ワークショップ
2026年3月22日、札幌コンベンションセンターで開催された高校生イベント「EXPO!t(エキスポット)」のなかで、ワークショップ「生命誕生 ― いのちはどこから来たのか ―」を行いました。主催は北海道札幌月寒高等学校。北海道各地の高校生が集まる対話型のイベントの中で、午後の体験プログラムの一つとして時間をいただきました。
担当は私(馬詰)と玉城先生の2人に北大の社会共創部社会連携課のお二人が手伝ってくれました。人数はだいぶ少なかったですが、密な時間を過ごしました。
体験メニュー
EXPO!t のワークショップでは、出張講義よりも体験メニューをさらに増やしました。
- 妊娠検査薬
- 妊婦体験ベスト
- 超音波検査体験
- 点滴の準備
- 分娩シミュレータ
- 最後の胎児の動画
特に超音波検査体験は、自分のお腹に当てて体の中を見るところまで踏み込みました。アンケートでも「超音波で自分の体の中を見たとき」が印象に残ったと書いてくれた生徒さんがいました。

妊娠検査薬への興味
意外と多くの感想が集まったのが、やはり最初に行う妊娠検査薬の体験でした。
「妊娠検査薬が意外と難しかった!けど2回目で成功できて嬉しかった!! 最後の動画も生命の神秘を感じました」(高校2年・女)
「妊娠検査薬。自分がこれから使う可能性のあるものだが、なんなのかよくわかっていなかったため、興味深かった」(高校2年・女)
「点滴がシリコンなのを初めて知りました。動画で、手術室に何人も人がいることに驚きました。妊娠検査薬は量によって以外と成功できないことがわかりました」(高校2年・女)
「自分がこれから使う可能性のあるもの」を、不安が先立つ場面ではなく、ワークショップの場で安心して試してもらえる。藻岩高校の先生から教わった妊娠検査薬体験の意味を、ここでも再認識です。
「赤ちゃんがまわっている」驚き
分娩シミュレータで多くの生徒さんが書いてくれたのが、赤ちゃんの動きへの驚きでした。
「実際に赤ちゃんの分娩体験をしてみて、赤ちゃんがまわっていることなど、知らなかったことをたくさん知れたことが印象深かったです。赤ちゃんが首が強くて、思ったよりも首をひねられていたことにすごく驚きました」(高校2年・女)
「赤ちゃんの首が強いため分娩で首を押さえても大丈夫なこと」(高校2年・女)
「分娩シミュレータ『あんなに小さいところから赤ちゃんが出てくるのか』と驚いた。体験していたとき、『これが実際だったら皮ふがが切れてしまっているんじゃないか』とひやひやしたものの、このような体験ができることに喜びを感じた」(高校2年・女)
「ひやひやしたものの、」というのは、産科医の私も同じでしたので・・。重さ・首の強さ・回旋する動き、これらは体験でしか学べないものです。

チーム医療への気づき
超緊急帝王切開の映像を見たあとに、医療チームの動き方への感想が多く寄せられました。
「チームプレーがとにかく大切で、手を握る人など直接的に分娩に関わらなかったとしても、赤ちゃんを妊婦さんを支えることができることに気づいた」(高校2年・女)
「自分が想像するより多人数で妊婦を支えているのだとわかった」(高校2年・女)
「動画で、手術室に何人も人がいることに驚きました」(高校2年・女)
「直接的に分娩に関わらなかったとしても、赤ちゃんと妊婦さんを支えることができる」と書いてくれた生徒さんがいたのは嬉しかったです。医師や助産師だけでなく、看護師、輸血部、検査部、手術部、麻酔科、皆で支える現場の感覚が伝わったかなと思います。

帝王切開への理解
帝王切開についての見方が変わったという感想も多くありました。
「帝王切開に対して傷腰のキズや痛み、突然なると不安だと思っていたけど、北大病院では6割の人が帝王切開だときいて安心した」(高校2年・女)
「帝王切開の割り合いが高く、普通の分娩のひとつとして考えることを始めてできました。まだまだ知らないことが多いと思ったのでもっと深く知りたいです」(高校2年・女)
「帝王切開がより普及しているのは知っていたが、その実態についてより深く知れた」(高校2年・女)
「帝王切開=何かあったと思ってしまっていたので、考えを改めていかなくてはいけないと感じました」(高校2年・女)
「帝王切開=何かあった」という見方を、自分の言葉で「考えを改めていかなくてはいけない」と書いてくれたのは、産科医としてありがたい言葉でした。
自分の出生と重ねて
複数の生徒さんが、講義の内容を自分の出生と重ねて受け取ってくれていました。
「私は双子の未熟児で生まれて、お母さんは帝王切開をしていて、帝王切開の映像とかを見て、どんなに大変だったろうと思いました。最近よくけんかしちゃうけど、あらためて感謝しかないし、それを本人に伝えたいなと思いました」(高校2年・女)
「自分が今ここにいること、何の障害もなく健康にすごせていることに改めて感謝の気持ちがわいた」(高校2年・女)
「親に改めて感謝したいと思いました」(高校2年・女)
「お母さんとよくけんかしちゃうけど、本人に伝えたいなと思った」という一文を読んで、こちらまで温かい気持ちになりました。
高校生の皆さんに感謝
EXPO!t は札幌月寒高校の主催で開かれた、対話を中心にしたイベントでした。出張講義とは違い、自分から手を挙げて来てくれた高校生たちとの時間は、こちらにとっても新鮮でした。「すごく楽しくて有意義な時間になりました!ありがとうございました!」と書いてくれた生徒さんもいて嬉しく思いました。
