JAL千歳~異業種交流座談会2024
2024年12月11日、JAL新千歳空港事業所にて、プレコンセプションケアをテーマとした異業種交流座談会を実施しました。参加者は、グランドスタッフ、グランドハンドリング、オペレーション、整備部門、間接部門、企画・総務など、JALで働く社員の皆さん。20代から50代までの男女混成で、高校向けの出張講義とはまったく違う空気の中で半日を過ごしました。
「異業種」だけど、話が噛み合う
この回は、出張講義とは設計思想が異なります。一方的な講義ではなく、講義パートのあとにグループディスカッションを置く構成。病院(北大病院)と空港(JAL)という、一見まったく違う業種で働く者同士が、同じテーマで膝を突き合わせて話すというのが狙いでした。
アンケートでもっとも繰り返し出てきたのが、**「異業種なのに課題が同じ」**という驚きです。
「いっぱいありました。自分たちの職場だけでなく、どの業種も同じ課題を持っていると知りました。今回のお話はとても今後のためになりました」(女・40-49・総務事務)
「異業種ですが、多くの共通点があり、職場で抱える悩みも同様なものがあったことが驚きました」(女・20-29・企画・総務)
「似た状況での職種で共有事項が多くあった。周囲の理解と、自主理解者が存在することが大切だと思いました」(男・50-59)
産休・育休の取り方、シフト勤務下での子育て、周囲の理解のされ方──これらの「働き方の悩み」は、医療現場でも空港現場でも、驚くほど同じ輪郭をしていました。職場間のベストプラクティスを持ち寄って共有できる関係が、この日のディスカッションで立ち上がりました。
「命を守る仕事」という共通点
もう一つ、複数の参加者が言葉にしたのが、「命を守る仕事」という軸での共通性でした。
「安全や人の命を守る仕事という共通点に、はっと気づかされました」(女・30-39・オペレーション)
「命を守る仕事、シフト勤務の中での苦労などタフな共通点」(男・40-49・グランドハンドリング/間接部門)
「病院のリアリティが印象に残った。働き方、サポート体制、イレギュラー対応etc、安全・安心を守る業種として共通点を実感できた」(男・40-49)
航空業界と医療業界は、**「人命を扱う現場」「シフト勤務」「イレギュラーへの即応」**といった要素を共有しています。JALの管理職・現場職・総務職それぞれの角度から、その共通性が言葉にされていったことは、私(馬詰)自身にとっても新しい視野でした。

「出産は幸せなこと」
グランドスタッフとして働く若い世代の女性から、次のような感想がありました。
「出産や妊娠について今まで授業とかで習ったことはあったが、正直まだ先のことだと思って考えていたので、今回このような機会を設けていただきありがとうございました。知らないことがたくさんあったり、帝王切開や出産に対する『不安』や『怖さ』が少しなくなりました。帝王切開の動画を見たときには、命が生まれる瞬間に立ち会えるとても素敵な職業だと思い、感動しました」(女・20-29・グランドスタッフ)
「妊娠・出産についての想像がよくついていませんでしたが、今回の研修を受けて、よく考える機会となり、良かったです」(女・20-29・グランドスタッフ)
高校向けの講義でも繰り返し出てくる**「怖さ→感動」への揺らぎ**が、社会人20代のアンケートにもそのまま現れていました。妊娠・出産を「まだ先のこと」として先送りしてきた若い社会人にも、同じ教材は刺さる──この実感は、講義のコンテンツ設計にも影響を与えました。
中学生の娘の母として
40-50代の世代には、また違う受け取り方がありました。
「中学の娘がいる母として、北大病院のみなさんが中高校生に向けて実施しているセミナーの内容は、とても興味深かったです。『出産は幸せなこと、Happyなこと』と理解が進むと感じました」(女・50-59・グランドスタッフ)
「高校生への教育について、こんな事を、と思いましたが、とても受けになり、きちんと対策を考えて行動できるようになるだろうなと思いました」(女・40-49・グランドスタッフ)
自分の娘に受けさせたい内容として高校向け講義を見ていた保護者世代の声は、出張講義の社会的な射程を広げてくれました。

男性管理職が参加していたこと
この回で特徴的だったのは、男性管理職の参加が目立ったことです。女性の働き方支援を、女性だけの話として閉じず、管理する側・制度設計側の男性にも届く形で行えたのは大きな成果でした。
「今日は男性管理職の方々も多く、このようにディスカッションを通じて、性別をこえた理解が進んでいくのだと、喜ばしく思いました」(女・50-59・グランドスタッフ)
「看護師さんと話が出来たことが広がる。妊娠について妻に対して接方を後悔」(男・40-49・グランドハンドリング)
男性参加者のアンケートに**「妻への接し方を後悔」**という一言が書かれていたのは、この回の静かな収穫でした。知識の伝達というより、今日家に帰ったらどう話すかという個人的な実感の書き換えが、社内研修の場で起きていました。
「体験を取り入れた研修は記憶に残る」
最後に一つ、この会の良さを感じる感想を引いておきます。
「体験を取り入れた研修は、記憶に残ります。とても良かったです」(女・40-49・グランドスタッフ)
「実際に分べんの体験ができたこと」(女・40-49・間接部門)
講義パートだけでは記憶は残らない。分娩シミュレータや妊婦体験ベストという身体で触れる要素が、社会人研修でも有効に働くことが、この日のアンケートで裏付けられました。JAL千歳2024は、出張講義のノウハウを企業研修の文脈に転用できることを確かめた最初の回であり、ここで得られた手応えが、2025年のJAL羽田「妊婦のハイレベルケア」連携研修へと接続していきます。