サイエンス・レクチャー2026~「生まれる」ってどういうこと?
2026年7月4日、北海道大学エンレイソウで、読売新聞社との共催による北大読売連携講座「サイエンス・レクチャー」を行いました。テーマは「『生まれる』ってどういうこと?生命誕生のサイエンス」。中高生18名(中学生10名、高校1〜3年生8名)をお迎えして、2時間半の回になりました。産科の玉城良先生と二人で担当しました。
講義では、胎盤の構造、超音波検査、帝王切開を含めたさまざまな出産のかたち、そしてお腹の中の胎児への輸血治療まで扱いました。体験は、妊娠検査薬、妊婦体験ベスト、超音波検査、点滴の準備、分娩シミュレータの5つです。終了後に5段階評価と自由記述のアンケートを取りました。
一番人気は点滴の準備
5段階評価(1=楽しくない〜5=楽しい)で、「5」を付けた人数です。
- 点滴の準備:17人/18人
- 超音波検査体験:13人
- 分娩シミュレータ:13人
- 胎児の動画:12人
- 妊娠検査薬:11人
- 妊婦体験ベスト:9人(残り9人は「4」で、1〜3はゼロ)

点滴の準備が突出していたのは予想外でした。地味な手技だと思っていたのですが、自由記述を読むと理由が見えてきます。
「点滴の準備、分娩シミュレータ。点滴の準備では医療のチームワークを感じた。対して、分娩シミュレータでは、赤ちゃんを1人で受けとめるのに責任感・怖さを感じた」
同じ生徒さんが、二つの体験を「チームで支える仕事」と「一人で受け止める重さ」として対比しています。どちらも産科の現実です。
帝王切開をめぐって

今回も帝王切開に関する記述が多く集まりました。自分の出生と結びつけて書いてくれた生徒さんが複数います。
「自分は帝王切開で生まれて、今回の講義で帝王切開が良く思われていないことを知りました」
「自分は予定日より生まれるのがおそすぎて帝王切開で生むことになったけど、お母さんに帝王切開で赤ちゃんを生むことも立派なことだよということをおしえてあげたいです」
「妊娠検査薬は、HCGという物質によって反応することを知らなかったので、驚いた。帝王切開ももちろん立派なお産である」
一つ目の感想は考えさせられました。帝王切開が立派な出産であることを伝えたつもりが、「良く思われていない」という世間の見方の存在を先に受け取った生徒さんがいたということです。伝え方を工夫する余地があります。
「長所を伸ばして一員になる」
講義では、医療チームには多様な役割があり、自分の得意なところを伸ばせばいい、という話をしました。それを受け取ってくれた記述が二つありました。
「自分の長所をいかす偏った人が重宝される」
「医療に携わりたいけど、これが出来ないから……と不安に感じたりしていたが、長所を伸ばして一員になるという考え方を得ることが出来て良かったし、頑張ろうと思った」
「これが出来ないから医療は無理かもしれない」と感じていた生徒さんに届いたのなら、話した甲斐がありました。
誕生日を考え直した生徒さん
「たんじょう日は自分がおめでとうと言われるべきものなのか考えた。以前はお母さんからプレゼントをもらっていたが、お母さんに感謝を伝えてみたいと思った」
「お母さんに、自分がうまれたときのことをもう一度聞こうと思いました」
講義で直接言ったわけではないことを、自分で考えて言葉にしてくれています。

この日の様子は翌7月5日の読売新聞に掲載されました。北海道大学リサーチタイムズにも開催報告が掲載されています。
サイエンスレクチャー2026「『生まれる』ってどういうこと? 生命誕生のサイエンス」を開催(北海道大学リサーチタイムズ)